2006年03月12日

後の世に顔向けできるか

論理の射程が短く、「感動した」だの「ぶっ壊す」だのとエモーショナルな言葉を重ねる首相はとても幽玄な哲学の持ち主には見えないが、群衆にとってはかえって明快で小気味よく、マスメディアにとっては報じやすい政治家であるだろう。

彼の行く先々で人は群がって歓声を上げ、風景はなにやら祭りめいた。
メディアはまたぞろそれを報じるから人気は相乗し、首相はわれ知らず人気の波に酔っているかに見受けられた。
               (中略)
それでは、政治権力とメディアが合作したこの劇場の空気とはなんだろうか。
第1に、分かりやすいイメージや情緒が、迂遠ではあるけれど大切な論理を排除し、現在の出来事が記憶すべき過去(歴史)を塗りかえてしまうこと。

第2に、あざとい政治劇を観る群衆から分析的思考を奪い、歓呼の声や嘲笑を伝染させて、劇を喜ばない者たちにはシニシズムを蔓延させたことであろう。

     辺見 庸 『小泉時代とは』 「劇場」と「観衆」の5年間


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2006年03月09日

公の私化

日本を含めた近代が前提としてきた、権力を制限して個人の自由を守るという立憲主義の考え方とは全く正反対のことが起きているのである。
また、小泉氏の言動から、公権力を持つ人々が心のままに行動する「公の私化」が日本社会で進んでいるのではないかという危惧を覚える。

ライブドア事件などでも明らかになったように、「官から民へ」というスローガンの下、実は「公」から「私」へ、つまり公共的なものの価値をおとしめ、私益が優先されるという流れが経済の領域で進んでいる。

総理大臣は、日本国というまとまりを持った公共社会の意思を内外に伝達する一番目に付く立場にある。
自らの言動に対する国際社会の評価を含め、様々なことを考えてメッセージを発すべきなのに、言動に感情や情緒といった心の問題を持ち込むのは、「公の私化」が政治の領域で始まっていることの表れだろう。

かつては権力者の心の自由のままに、権力を持たぬ者の自由は切り捨て御免だった。
王侯貴族の所有物だった政治が公共の手に移ったのが、近代であったはずだ。
その前提が失われようとしているのだろうか。
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朝日新聞 『靖国参拝は「心の問題」か』 のうち 憲法学者・樋口陽一氏の文から    
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2006年03月05日

公の私化@

歴史的には、政教分離はキリスト教文化圏で生まれた。
宗教権力が世俗権力よりも優位だった欧州社会とは異なり、日本では世俗の政治権力が宗教を利用した歴史を持つ。
とりわけ、戦争遂行と士気高揚という世俗目的のために国家神道が動員された反省に立ち、日本国憲法で政教分離規定が定められた。
                 (中 略)
最高権力者が自らの意のままに振る舞うために心の自由」を持ち出す一方で、良心に照らして個人がしたくないことを無理にさせるという強制が現実に起きている。
入学式や卒業式での国旗掲揚や国歌斉唱をめぐり、「起立できない」「君が代を歌えない」として起立しなかった教師の「心の自由」が子供たちの目の前で押しつぶされている。
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朝日新聞 『靖国参拝は「心の問題」か』 のうち 憲法学者・樋口陽一氏の文から    
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2006年03月04日

書き言葉コーパス

国立国語研究所は、書かれた現代日本語のデータベース書き言葉コーパス構築に乗り出す。      
2010年までの5年計画で、世界最高水準といわれるイギリス英語を集めたブリティッシュ・ナショナル・コーパス(BNC)の1億語を上回る規模を目指す。
日本語の語彙研究や辞書編集、常用漢字表の見直し、コンピューターによる言語処理など幅広い応用が期待される。
コーパス(corpus)原義は身体、(文献などの)全集。
実際に書かれたり、話されたりした文章を言語活動の実態に沿ってバランスよく集め、分類した大量の資料。
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 朝日新聞 2006年3月1日    こちらもどうぞ⇒ネット社会、その光と闇を追うー
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2006年02月25日

「起承承承‥結」の時代か

精神科医の中井久夫氏が、『日本語の対話性』というエッセーで次のようなことを言っている。
日本語の文章はその対話的性格から「起承転結」が良しとされるが、米国では「起承承承‥結」だという。
保留や別の観点を述べる「転」の存在は「弱さ」を感じさせるからだ。
この違いは彼我の文化の特徴を反映していると−−。

なるほどと思わされる見方だが、最近は日本でも「起承承承‥結」型の行動様式が目立ってきたように思う。
小泉純一郎首相がそうだ。
靖国参拝にしろ郵政民営化にしろ自分が大事と思う問題については、誰の声にも耳を貸さず、押して押して押しまくる。
                  日本経済新聞 2006.2.22 『大磯小磯』から

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2006年02月21日

風刺画危機 自由・寛容の社会作る契機に

風刺画転載の権利を主張して表現の自由を守ろうという人たちは、自分たちが尊重し神聖だと思っていることのほうが、イスラム教徒が尊重し神聖とすることよりも守るに価値があると言っているのと同じだ。
‥‥中略‥‥
風刺画危機は、不寛容と無知の世界に暴力が起こりうるという目覚まし時計である。
イスラム世界と西側世界との亀裂の深まりは、誰の得にもならない。
私たちは自由と寛容の民主主義社会を育てる必要がある。
平和と安定のために近代的で、多文化・多民族・多宗教の社会を築くこと。
それが私たちの希望である。
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朝日新聞 2006年2月14日 『私の視点』 駐日エジプト大使 ヒシャム・バドル

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2006年02月13日

偽装に沈黙する業界団体 利権より倫理の共有を

ナゼを説明せずに、結論だけを短いフレーズで連呼し続ける。
劇場型というより学芸会型と呼ぶほうがふさわしい政治が続いている。
その中で帳尻だけを合わせた偽装偽造捏造が次々と表面化してきた。

理念を語ることなく結果がすべての不透明な経営は時代の寵児を奈落の縁に追いやった。
建造物の安全性を担保するための構造設計が、建物から安全を奪っている現実。
真実の使徒たるべき科学者がいとも簡単に虚偽を並び立てるこのごろ。

個人の資質を批判していて、ことは収まるのだろうか。
利権確保の団体が、理念と倫理を共有する組織に生まれ変わるのは、今が絶好の機会だと思うのだが−。
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 日本経済新聞 2006.2.12 朝刊 『中外時評』から 塩谷喜雄
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2006年02月10日

日本は格差社会か

日本の不平等度は、高度経済成長が終わったあたりからコンスタントに上昇してきた。
所得税の最高税率引き下げ70%〜37%マル優廃止相続税軽減など、所得再分配の機能を弱める政策を重ねてきたことが背景にある。
市場原理主義規制緩和を推し進める小泉政権が不平等化を助長した。
労働市場の規制緩和で非正規労働者が増加。
95年に60万人だった生活保護受給世帯が今は100万を超えたことが貧困者の端的に示している。
        ‥‥ ‥‥ ‥‥ 中 略 ‥‥ ‥‥ ‥‥
国民に強く自立を求める米国のような社会か、欧州のようにセーフティーネットや再分配政策を重視する社会か。
格差拡大に注目が集まっている今こそ、国民に是非を問うべきではないか。
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 朝日新聞 2006/2/10 朝刊 新社会のデザイン『日本は格差社会か』  橘木俊詔氏 
 
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2006年02月06日

アルジャジーラ

アルジャジーラという放送局がある。
BBCのアラビア語放送から出発して独立し、カタールに本拠を置く放送局だ。
アメリカから閉鎖の圧力をかけられる一方、アラブ内の保守派からも攻撃されている。
要は、なるべく客観的な姿勢でニュースを流そうとし、タブーとされている問題を取り上げ、討論番組に仕立てるからだ。
アルジャジーラは、アフガニスタンでもイラクでも、戦争の現場からアラブ人が報道する。
世界がアラブ世界を見る新しい目を提供し、そして、確かにアラブ世界も変えた。
ごく普通といえば普通の報道をずっと続けていくことで、アラブ人の心に変化をもたらしている。
         ■            ■            ■
 日本経済新聞 『世界を変える50の方法』 長谷川眞理子

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マイク・マンスフィールド

米政界の長老で、駐日大使を長く務めたマイク・マンスフィールドさんは生前、自ら来客をコーヒーでもてなすことで有名だった。
‥‥ ‥‥ ‥‥ ‥‥(中略)‥‥ ‥‥ ‥‥ ‥‥
大使に赴任したのは77年。
当時はまだ一般的だった日本女性のお茶くみの習慣への抗議の意味が込められていたという。
お茶くみは、それをさせられる人を貶めると彼は考えた。
「私がコーヒーを入れることで、彼女たちの立場を楽にしてあげたかった」と著書に語っている。
          朝日新聞 2006.2.6 天声人語
            
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